ややイデオロギー色が強いが、勉強になる
本書は、以前レビューした「一気に学び直す日本史 古代・中世・近世 教養編」の続編です。(元々1冊の本を2冊に分けて改訂したものなので、厳密には続編というわけではありませんが…)教養編を読み終えた後すぐに本書にとりかかるつもりでしたが、他の本にかまけて1年近くも積ん読してしまいました(/ω\) だって読みたい本多いんですもん!
本書は教養編と同じく骨太の記述で、これまで表面的にしか知らなかった歴史事象の背景まで詳しく知ることができます。特に、日本の開国に関する記述などは、なぜ日本だけが植民地にならずに逆に列強の仲間入りをできたのかについて、列強国それぞれの国内事情も踏まえて解説がなされているため、なるほど!と思わされました。もちろん文体はもともと受験参考書なので堅いですが、それでもワクワクしながら読めるようになっています。
そのような詳しい解説がありつつも多すぎない分量であるため、途中で迷子にならずに歴史の流れが頭に入りやすいのもポイントだと思います。まさに日本近代史を学びなおすためにうってつけの1冊であると思います。
ただ、一つ気になったのは、特に現代の記述になると筆者のイデオロギー色と言いますか、主義主張が濃く反映されていることでしょうか。もちろん、ある程度の主観が入るのは仕方ないかもしれませんが、例えば以下の部分などは表現ぶりに思いが入っているなあと感じました。
〇1960年の安保条約の批准「議会制民主主義まで踏みにじられる」p.258
→ 当時の情勢はさておき、議会で正当な手続きを経た条約批准についてこれは言い過ぎではないかと。。。
〇中国の文化大革命 「人民の大々的な政治参加」 p.260
→ 政治の大混乱を引き起こした文化大革命が何か穏当な運動に見えてきます。。。
このような点を差し引いても、読んで勉強になることは間違いないですので、【教養編】と併せてぜひおススメしたい1冊(2冊?)です!
いっきに学び直す日本史 近代・現代 実用編
安藤 達朗 (著), 山岸良二 (監修), 佐藤 優 (編集)
いっきに学び直す日本史 古代・中世・近世 教養編
安藤 達朗 (著), 山岸良二 (監修), 佐藤 優 (編集)
夫
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