ミステリー 小説

贖罪の奏鳴曲(ソナタ):悪人か善人か分からない主人公の行動から目が離せない

投稿日:

贖罪の奏鳴曲(ソナタ) 御子柴礼司 中山七里

主人公、いい奴なの?悪い奴なの?最後まで分からない!

ストーリーは、主人公である利き腕の弁護士御子柴(みこしば)が、とある男の死体を処理するところから始まります。弁護士らしからぬ怪しい行動を取ったり、詐欺罪で捕まった男の弁護人を引き受ける際に法外な費用を請求したり…。一方で、国選弁護人を頼まれたり法曹界の重鎮にも一目を置かれるほど利き腕の弁護士であるはずなのに、人には隠している過去がある主人公。

主人公が最初から悪役っぽい行動をしているのに、ほとんどお金にならない国選弁護人の案件を引き受けたりと、主人公が極悪人なのか良い奴なのか、最後の最後まで分からない。そんな「どっち?!どっちなの?!」というハラハラ感を楽しめる小説でした。

死体処理の件で刑事に疑いをかけられ、中盤では御子柴の過去を遡るストーリーが展開されます。あまり詳しく説明するとネタバレになってしまいますが、極悪非道で人の痛みが分からないような人間が、ふとしたことがきっかけで自分の罪に気付いていく様子が、心にグッとくるものがありました。

御子柴が、ある親子の保険金がらみの殺害事件を弁護していくのですが、その裁判の成り行きも最後の最後まで分からない。最後に全てつじつまが合っていく感じが、ミステリー小節らしくスカッとさせられました。

最初はグロい描写もあり、なかなか入り込めなかったのですが、1/3通過したくらいから一気に入り込んで読破できました。法曹界の裏話や死体に関するうんちく、障がい者の方の心理描写なども興味深かったです。ちなみに2015年にドラマ化してたんですね!知らずに読んでました~

 


 

贖罪の奏鳴曲(ソナタ) 御子柴礼司 中山七里

贖罪の奏鳴曲(ソナタ) 御子柴礼司
中山七里

Amazonで見る 楽天で見る

 

The following two tabs change content below.
妻

体や栄養に関するマニアックな本、経済・投資関連の本、社会学系の本が好き。モノを増やしたくないので本はできる限りデジタルにしたいと思っている。ミステリー&サスペンス系の小説が好きだが、はまり込むと家事や仕事をおろそかにするのでたまにの楽しみにしている。
▼ブログランキング参加中。クリック応援お願いします♪
にほんブログ村 本ブログへ にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ にほんブログ村 本ブログ おすすめ本へ

-ミステリー, 小説


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

82年生まれ、キム・ジヨン-チョ・ナムジュ (著), 斎藤 真理子 (翻訳)-idobon.com

82年生まれ、キム・ジヨン:韓国の女性の生きづらさを描いた100万部突破のベストセラー

韓国での女性の扱いは日本のバブル時のよう 韓国人と日本人のハーフの娘を持つ友人が、旦那さんに勧められて読んだというので、私も興味を持って読んでみました。 本書は韓国ではベストセラーになっています。 ス …

嵐が丘<上>-E・ブロンテ-idobon.com

嵐が丘:恋愛小説で終わらない、もっと普遍的な題材を扱っている小説

嵐が丘 「リア王」、「白鯨」と並んで三代悲劇と言われた本に希望を見出す 「次、何読もう?」と常に考えています。そして、良書を探すためにはいつもアンテナを張っています。読書家の友達からのおすすめだったり …

アフターダーク 村上 春樹

アフターダーク:一晩のうちに起こる不思議な出来事を追う

変わったスタイルの小説 村上春樹の小説といえば、ちょっと孤独でパッとしない主人公が、漏れなく不思議な美女とセックスして、その美女がいなくなり…的な展開のものが多いですが、「アフターダーク」はその型には …

初恋(光文社古典新訳文庫)-トゥルゲーネフ-idobon.com

初恋:日常にキュンキュンさが足りていない人におすすめ

「初恋」はその名の通り、16歳の少年が初めての恋を知る話です。素直で純粋な青年の心の中をのぞいているようでキュンキュンさせてくれます。 ストーリーは主人公のヴラディミールが初恋の思い出を回想するところ …

1Q84-英語版-村上春樹-idobon.com

1Q84:今まで読んだ春樹本の中で一番面白かった

私の2015年2月はほとんどこの本に吸い尽くされた 村上春樹のとんでもなく長い小説ということで、手に取ることを躊躇していた本書。 アメリカにいたときに一緒に2週間もロードトリップをした友人が、旅行期間 …