学問に、読書に、趣味に、あらゆる人に参考になる人生論
私のレビューをいくつか読んでいただいたことのある人はお気づきかもしれませんが(そんな方がどれだけいらっしゃるかはわかりませんが…(^^;))、実は私は人生論や読書論の類が大好きなのです!(誰得感)
そんな中でも、これはなかなかの1冊です。後ほど書きますが、私が本書で一番感銘を受けたのが、趣味に対する姿勢についてです。
本書では大きく分けて学問の仕方、本の読み方、そして遊び方の3つに分けて論じられています。学問の仕方も、何も専門的な研究論というわけではなく(そうした側面も若干含まれていますが)、物事を表面的になぞるのではなく、過去の成り立ちや、理論などを知れば、人生はもっと面白く見えるという、むしろ生き方、人生に対する姿勢につながる内容です。例えば、道に生えている植物一つとっても、パッと見ただけではきれいだなあ、で終わる話ですが、著者の言う学問的な姿勢で見れば、これはどういう分類で、こういう気候に生えるもので…なんて考え始めれば、物事の見え方も変わってくるということです(もちろん植物マニアになれというわけではなく、あくまで自分の興味のある分野で、きちんとした方法論などを身に着けよう、ということです)。
そして、趣味の話です。正直、本書を読了後、趣味に対する姿勢が全く変わりました。著者は読者に、あなたの趣味は「プロになれる趣味」であるか、と問いかけます。多くの人(わたしを含む)の趣味に対する姿勢は、筆者が指摘するように、以下のような感じではないでしょうか。
どうせこれは趣味なんだから、まあ、プロになるわけじゃないんだから、そこそこに自分が楽しければいいんですよ(P43)
私の場合、趣味はアコースティック・ギターです。もちろん、プロになれるほどの腕前ではありませんが、自分なりに楽しければそれでいいと思っていました。でも、Youtubeなどでうまいギタリストの動画などを見ていると、「自分もこんな風に弾けたらなあ~」と、自分の腕に不満感を覚えることがよくありました。そんなときはいつも、「まあ、私はプロのギタリストではなく、趣味で弾いてるんだから、しょうがないか」なんて言い訳を自分にしていました。
しかし、と著者は言います。そういうことができなかったら、ほんとうに自分の趣味としては楽しくないではありませんか、と。プロになるかならないかは別として、ほんとの趣味となるためには、プロになれるほどの努力と腕前がなければだめなんです、と。 この筆者の言葉に心打たれて、私は一念発起し、プロのギタリストのやっているギターレッスンに通い始めました。いつかYoutubeで見たような演奏を自分でもできるようになるために。1年半ほど通ったあと、仕事の都合でそのレッスンはやめざるを得ませんでしたが、そのギタリストの出しているDVDなどを購入して、現在も修行を続けています。ギタリストとしてはまだまだ道半ばですが、「趣味だから」と言い訳していたころよりも、とても充実感を感じることができています。
何やら自分の話で熱くなってしまい恐縮ですが(←悪い癖)、このほかにも読書論や遊び方など、学ばされるところが多い本です。薄い新書で、手軽に読める本でありながら、内容の濃い、素晴らしい本です。ぜひ一度お手に取ってみてください!
知性の磨き方
林望
夫
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