勉強になるところもありますが。。。
本書は、戦後の言論人として名高い清水幾太郎氏による、論文の書き方についての本です。薄い新書で、値段も手ごろなので、大学でレポートなどを書くための入門書としてついつい手を取ってしまいそうですが、そういう目的で読むと大惨事になります(私もそうでした。。。)
「論文の書き方」と銘打っていますが、実際には論文というよりも「文章を書く際の心構え、注意点」のような内容が展開されています。文章上達のための修行法、接続詞「が」の使い過ぎについての注意喚起、主語の大切さ、書くことは観念の爆発(!)である、など、およそレポートや論文を初めて書くために必要な知識とはかけ離れた内容です(;^ω^)
以前レビューした「入門・論文の書き方」(鷲田小彌太著)よりもさらに「玄人向け」の本で、ある程度論文などを書きなれた人が、自らの文章を向上させたい、と思ったときに読むような本だと思います。すぐに使えるようなノウハウというものではなく、むしろ読み物という位置づけの方がよいと思います。そのような読み物として読むならば、含蓄もあり、学ばされることの多い良書ではないでしょうか。
それにしても、本書や、講談社学術文庫から出ている「論文の書き方」(澤田昭夫著、いずれレビューします!)など、一見論文執筆のための入門書のような名前の本が本当にいろいろと出ていますね。それゆえに、「レポートってどういうことを書けばいいの?何から始めればいいの?」と疑問を持っている人が、最初にどの本を選べばいいか、ということがわかりにくくなっているような気がします。
そういう意味では、基本的には社会科学系向けですが、以前レビューした「社会科学系のための優秀論文作成術」が最適です。以前レビューしたので繰り返しませんが、入門書としてとにかく良いです!(語彙力)
この本を読んで論文とはどういうことを書けばよいかということを把握したうえで、スパイスとして本書や「入門・論文の書き方」などに進んでいけばよいと思います。
論文の書き方
清水幾太郎
夫
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