政治と軍事の関係を考える上でとても参考になる
「剣の刃(つるぎのやいば)」、かっこいいタイトルですね。何を隠そう、私が本書を購入したきっかけは、もちろん優れた本であると聞いたからというのもありますが、なんと言っても私の中二病をくすぐるタイトルに惹かれたからです(笑) しかも、今でこそ文庫本で安く手に入りますが、私は2014年ごろ、中古の単行本を5000円くらいで購入した記憶があります。。。(^^;)
それはさておき、本書はフランスの大統領も務めた、著名な軍人、シャルル・ド・ゴール将軍による軍事論です。
本書では、
・軍隊とは
・軍人とは何か
・政治との違いは何か
・政治と軍事の関係はどうあるべきか
などについて考察されています。
大統領、そして将軍と、政治と軍事でトップに上り詰めた人が語る政治論・軍事論は説得力があります。
現在の日本では、憲法9条を改正して自衛隊を明記する、などの議論が出ており、日本として自衛隊をどう位置づけるかについて、注目が集まっています。このまま憲法の禁ずる戦力には当たらない「実力」としての自衛隊を存続させるのか、憲法を改正して自衛隊を憲法に明記させるのか、それともより一歩進んで「国防軍」として、正式な軍隊と位置付けるのか。。。。
このような議論は、それこそ政府の強調するような、「国民的な議論の深まり」の中で決めていくことかもしれません。であるからこそ、そもそも軍隊とは何か、政治との関係はどうあるべきか、ということを、私たちも考えてみることが求められているのではないかと思います。日本では戦後、あまり軍事論に関する本は出版されていない中、本書は貴重な知見を提供してくれると思います。
特に印象的だったのは、著者は、軍事が政治に優先すると、国内だけでなく外国との関係でも緊張を生み出すので望ましくないとしつつ、政治が軍事に優先することも、政治が軍人社会を腐敗させてしまうので、また望ましくないとしています。それゆえ、政治家と軍人は、両者の違いを認識したうえで、互いに協力していかなければならない、と述べています。
著者の考えに同意しなくとも、政治家及び軍人(日本の場合は自衛隊)について、それぞれお互いの組織、文化、考え方などの違いをまず認識すべきとの意見は、拝聴に値するのではないかと思います。その違いについて自分なりに考える土台として、本書はうってつけだと思います。
もし、憲法を改正することとなれば、最終的な判断を下すのは国民投票における私たち一人ひとりです。しっかりとした知見を持って、この国の行く末に携わっていきたいですね!
なんか真面目なレビューになってしまいましたが、実は「愛読書は『剣の刃』という本です(`・ω・´) キリッ!」と言いたいがために本書を気に入っているという面もあります(笑)
今では安く買えますので、皆様もぜひご一読を!(^^)/
剣の刃
シャルル ド・ゴール
夫
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