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In Defence of War:キリスト教神学者が書いた戦争論の傑作

投稿日:2019年3月1日

In Defence of War-Nigel Biggar-idobon.com

戦争と平和主義を考えるうえで最高の専門書

色々と本を読んでいて、震えるほど知的興奮に満たされる本に出会えるのは、私の場合せいぜい年に1~2冊くらいです。しかし、2019年は初っ端からきました!今年はいけそうです!(何が?)

本書 “In Defence of War” (戦争の擁護)は、タイトルからすると何か危険なにおいを感じるかもしれませんが、内容は戦争と平和について考えるいたって真面目な専門書です。

本書の面白いところは、大学でキリスト教神学を教えているクリスチャンによって書かれていることです。日本でクリスチャンというと平和主義を唱える方が圧倒的に多い(少なくとも出版界では)ですが、著者は平和主義について厳しい批判を展開しています。

大まかに要約すると・・・

本書の内容は、ものすごーく大まかに要約すれば、以下のような感じではないかと思います。
①この世の悪に対処する手段として、平和主義がいつも正しいものとは限らない。
②そのため、悪に対処する手段として、戦争を除外すべきではない。
③したがって、どのような戦争が正当化されるかということをしっかり考えなければならない。

まず①について、侵略戦争や虐殺(1994年にルワンダで起こった民族浄化など)について、平和主義、すなわち武力によらない解決策を探るということは必ずしも良策ではない、と著者は主張します。確かに、ルワンダにおける虐殺では、国際社会は介入戦争を行わず、虐殺される人々をただ傍観するに近い形となりました。そのような状況で、武力による介入(すなわち戦争)を否定することは本当に正しいのか、と著者は問いかけます。

②について、確かに戦争を行うことは犠牲を伴うものであるが、戦争を行うデメリットが、虐殺や侵略戦争のような悪を放置することによるデメリットよりも大きいとは、必ずしも言えないのではないか、と筆者は主張します。いつも戦争が正しい解決手段であるとは限らないが、頭からそれを選択肢から外してしまうのもいただけない、ということでしょうか。

①及び②の主張は、③のどのような戦争が正当化されうるのか、という筆者の議論につながっていきます。ここで著者は、「正義の戦争(Just War Theory)」という、キリスト教で古くから伝わる理論を踏まえ、精緻な議論を展開していきます。

何より驚かされるのは、筆者はキリスト教の神学者ですが、戦史・軍事史に驚くほど造詣が深いことです。その広い知識を縦横に駆使して自らの主張を肉付けしていく様は実にあざやかで、読んでいてとても知的に興奮させられます。ホント自分も見習いたいなあ~と感動しながら読了いたしました。

邦訳がない上に専門書なので結構読むのに骨が折れますが、キリスト教、戦争、平和主義などについて興味のある方は、立場の如何に関わらず、絶対に読んで損はない本だと思います!


 

In Defence of War-Nigel Biggar-idobon.com

In Defence of War
Nigel Biggar

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夫

国際関係、政治、哲学、古典に関する本が大好物。読書は絶対紙派(電子はちょっと苦手なのです…)。アコースティックギターが趣味で夜な夜な練習にいそしんでいる。ツンツンヘアがトレードマークで、ヘアカットをするときのお決まりの注文は「横と後ろはバリカンでトップは短く」。
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