辛口だけどためになる読書論
本書は、辛口で有名なドイツの哲学者ショウペンハウエル(以下、辛口オジサマ)の、読書に関するエッセイを集めた本です。辛口オジサマから放たれる、これでもかと言わんばかりの、耳の痛いコメントが満載ですが、一読すれば、読書に対する姿勢が変わること請け合いです。
私はもともと読書論に関する本が大好きで、本書も、「大いに読書したまえ」的な本かと思い、学生時代に嬉々として手に取ったものです。しかし!まず本書(岩波文庫版)を見て飛び込んでくるのは、辛口オジサマのこの一撃。
一日を多読に費やす勤勉な人間は、しだいに自分でものを考える力を失っていく
それまで、読書をすればするほど、考える力も増え、自分にメリットがあるのだろうと思っていたので、衝撃でした。早速手に取って読んでみると、こういうことのようです。
① 読書している間は、自分の頭は他人の思想の運動場
② そのため、自分でものを考えることをしない
③ すなわち、読書をひっきりなしにしていれば、自分でものを考えなくなる
確かに、私の体験としても、ぼんやりと読書するだけでは、他人の受け売りは増えるかもしれないけれども、自分の意見や考えをちゃんと深めていなかったなあと感じ、反省させられました。
しかし、本書は、読書をするな!と言っているわけではありません。辛口オジサマはこうも言っています。
思想家には多量の知識が材料として必要であり、そのため読書量も多量でなければならない。だがその精神ははなはだ強力で、そのすべてを消化し、同化して自分の思想体系に併合することができる。
つまり、私は本書を読んで、「本を読むことは重要だけども、自分の意見、考えをしっかりと持たなくてはいけないよ」ということかな、と受け取りました。
このほかにも、「重要な書物は続けて二度読むべき」「良書を読むための条件は、悪書を読まぬこと」「精神のための清涼剤としては、ギリシャ、ローマの古典にまさるものはない」など、読書をする人にとって参考になるアドバイスが満載です。
読書好きの方(は既に読んでいる方も多いかと思いますが💦)には、読書に対する姿勢を考えさせられるという点で、おススメできる1冊だと思います。
読書について 他二篇 (岩波文庫)
ショウペンハウエル(Schopenhauer)
夫
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