タイトル通り「一気に学べる」わけではないが、社会人になってから歴史を学びなおすには最適の一冊
本屋で見かけ、「今売れています!」という売り文句につられてついつい買ってしまいました。(←ミーハー)
「一気に学びなおす!」とタイトルに銘打っているだけあって、記述はかなり充実しています。私もこれまでいろいろな日本史の教科書や、それらをアレンジしたもの(山川出版の「もういちど読む山川日本史」など)を読んできましたが、それらに比べ、歴史上の出来事の背景についての解説が詳しいように思います。
例えば、大化の改新については、7世紀に中大兄皇子と中臣鎌足が蘇我氏を滅亡させ、天皇中心の政治をつくるために行われた改革、などと元々理解しておりました。本書ではその背景の説明として、唐による高句麗遠征など、唐の強大化により、「国内での危機感が強まり、(それまでの地方分権的な氏姓制度を排して)天皇中心の強固な中央集権国家を作る必要性が痛感されるようになった」と解説されており、なぜ当時大化の改新を行われたかという理由について、すっきりと理解できました。
このように、1冊読みとおした後では、原始時代から江戸中期までの歴史の流れの大枠を、自分の頭の中で整理できるようなつくりになっていると思います。記述が充実している分、この手の本としては、物語のような(大袈裟?)ストーリー性も多少感じられるので、割と楽しく読み進めることができると思います。(すでに2回通読してしまいました)
ただ、一つ苦言と言いますか、注意喚起をさせていただきたいのは、「一気に学びなおす!」というタイトルから、比較的短時間ですんなり通読できそうなイメージを抱かれるかもしれません。私も「一週間くらいで読み終わるかな?」なんて考えながら手に取りましたが、結局通読するのに1か月以上かかってしまいました。いくら記述が充実し、楽しんで読めるとはいえ、もともとは受験参考書。そこまですんなり簡単にとはいきませんでした(^^;)
これ1冊で江戸中期での知識はかなり整理できるという意味でおススメですが、結構読むのに骨が折れますので、読まれる際は気合を入れて挑戦することをおススメします!
いっきに学び直す日本史 古代・中世・近世 教養編
安藤 達朗 (著), 山岸良二 (監修), 佐藤 優 (編集)
夫
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