エッセー・随筆 文学・評論

男の作法:大物作家が語るカッコいい大人論

投稿日:2018年5月22日

男の作法-池波正太郎-idobon.com

カッコいい大人にあこがれる方へ

大学生時代、無性に「カッコいい大人な男」にあこがれた私は、この池波正太郎著「男の作法」に魅せられました。

筆者は、「剣客商売」「真田太平記」などの時代小説で知られた作家で、小説のほかに、本書のようなエッセイ集も多く出版しています。エッセイでは、本書に加え、「映画を見ると得をする」(新潮文庫)なんかも、読んで損はない本だと思います。

さて、本書ですが、いろんな側面から「かっこいい男の作法」について語られています。お寿司、てんぷら、そばの食べ方に始まり、眼鏡、ネクタイ、スーツ、和服の選び方や着こなし方、さらには、いいレストランに一人で行くことの大切さなど、まさに縦横無尽に語りつくされています。

特に印象的だったのは、男の持ち物は、自分の身の丈に合ったものを選ぶことが大切である、というところですね。貧乏なのに無理して高い車やライターなどを持っていてはかえって不自然である、と。自分も学生時代、オメガなど高級な時計にあこがれたときもありましたが、本書を読んで、もっとふさわしい大人になってからにしようと思いなおしました(そしていまだに購入できていません…いつになったらそれにふさわしい大人になれるのでしょうか笑)。一方で、万年筆と手帳だけは、仕事をする男の武器となるものだから、しっかりとお金をかけるべき、なんていうアドバイスもしてくれます。

もちろん、本書が初めて出版されたのが昭和56年で、もう40年近く前になりますので、現在に当てはまらないところもあると思います。しかし、現代において、目上の人が若い人に向けて、「男はこうしたらいいんだ」「カッコいい男とはこういうものだ」というようなことを教えてくれることは少なくなっているのではないでしょうか(私自身、あまり教わった記憶がありません。不遜にも忘れているだけかもしれませんが…笑)。そういう意味で、受け入れるかどうかは別として、こうした人生の大先輩の助言は貴重ではないかなと思います。

今の若い人たちが読んでも、得られるものは大きいと思います。語り口調で書かれていますので、読みやすいのもおすすめポイントですね。


 

男の作法-池波正太郎-idobon.com

男の作法(新潮文庫)
池波正太郎

Amazonで見る 楽天で見る

 

 

The following two tabs change content below.

国際関係、政治、哲学、古典に関する本が大好物。読書は絶対紙派(電子はちょっと苦手なのです…)。アコースティックギターが趣味で夜な夜な練習にいそしんでいる。ツンツンヘアがトレードマークで、ヘアカットをするときのお決まりの注文は「横と後ろはバリカンでトップは短く」。
▼ブログランキング参加中。クリック応援お願いします♪
にほんブログ村 本ブログへ にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ にほんブログ村 本ブログ おすすめ本へ

-エッセー・随筆, 文学・評論
-


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

モデラート・カンタービレ:短いけど不思議な感覚を残す小説

フランス語で読もうとしたが挫折… 私はフランス語を勉強しています。フランス語は、英語の10倍以上難しく感じます。特に文法。名詞に男性と女性があるし、その名詞が文中にいる時は、形容詞もそれに合わせなくて …

獲物の分け前 ゾラ

獲物の分け前:18世紀後半パリ、ある女の破滅の物語

快楽を追い求めた行く末は… 時代は18世紀後半のナポレオン三世政権。オスマン計画というパリ大改造が行われ、多額の資金がパリの街に、特に不動産に流れ込んでいた時代を背景にしています。浪費と金銭主義で浮か …

アルジャーノンに花束を-ダニエル キイス (著), 小尾 芙佐 (翻訳)-idobon.com

アルジャーノンに花束を:知識と知恵の違いを学ばされる

IQ70の人が天才になる話 主人公のチャーリィは32歳なのに幼児なみの知能しかない知的障害者。複雑なことは理解できないですが、パン屋の雑用として働かせてもらっていました。ですが、ある時大学の研究対象に …

肉体の悪魔-ラディゲ-idobon.com

肉体の悪魔:ラディゲから破滅的な初恋について学ぶ

10代のころに読んでおきたい **ネタバレ注意** 人生のことがらや人との出会いと同じように、本との出会いにもタイミングというものがあって、そのタイミングが上手く合わないと、良書も本来の目的を失ってイ …

パリ行ったことないの-山内マリコ

パリ行ったことないの:やりたいことを始めるのに待たなくてもいいのだと思わされる

やりたいことを始めるのに待たなくてもいいのだと思わされる 友達がオススメしてくれたこの本、タイトルと表紙の絵が可愛くてすぐさま読んでみたい気持ちになりました。数時間でサクっと読める短い小説です。 スト …