妊娠出産を経験する女性の心の中がのぞける
作家の川上未映子さんの妊娠・出産・育児のリアルな体験記録。私も妊娠5カ月に入ったくらいのころにこれを読んだので、とっても共感できるところもありつつ、ぬぉおおこれからこんなことが起こるのか、とドキドキわくわく不安の入り混じる気持ちで読ませていただきました。
小説家なだけあって、微妙な心の動きや変化の描写にすごく引き込まれました。とはいえこれはエッセーなので、関西弁入り混じる自然な感じもスキ。
妊娠にまつわる心や体の変化については、妊婦さんだけではなくて、これからパパになる人にも読んでもらいたいです。妊娠の経過は人それぞれ違うけれど、多くの女性たちが共感したこの本から、学べることが多いはず。つわりに苦しむ妻がどういうことを考えているのか、つらく当たられたときなぜ妻がそういう態度を取ったのか、知るヒントになるかも。
出産を控える私としては、出産後や育児のことについてもなるほど~といった感じでした。
いくつか面白かった&考えさせられたフレーズがあったので紹介しますね。
息子を生んだその瞬間から、もはや、自分は完全に、人間でなくなりました(BY太宰治)。即身仏ならぬ、即身乳。そう、ただ乳として存在する、かろうじて人型をしているだけのものに、気が付けば一瞬でわたしは変身してしまったのである。―「乳として」より
これには吹きました(笑)
そうか~。人間じゃなくておっぱいになってしまうのか・・
じゃあ、ここは母親であるわたしが育児に専念するしかないのだろうか。いや、それはない。なぜ、あべだけが仕事ができるのだ。ふたりの子どもなのに。じゃあ気合を入れて、年間480万円払うしかないのだろうか。でも、それは、なんのために?かけがえのない、生まれたてのオニとの二度ともどってはこないこの時間をお金で買ってなくしてまで、わたしはいったいなにがしたいのだろう?―「ひきつづき、かかりすぎるお金のことなど」より
仕事と育児をどのように折り合いをつけたらよいのか、ということについて。これは私たち夫婦もすごく悩むことになりそう・・・。保育園に入れることの罪悪感について描いた章も、考えさせられるものがありました。
川上さんのインスタグラムを見ていると、このエッセーを書かれた後に、素敵なお母さんになっていったんだなぁということが見て取れます。と同時に、母親としての葛藤や発見も、日々書かれていて、母親業というのは常に学びなんだな~と思わされます。
子育てについての、このFRAUのインタビューもすてきです。
きみは赤ちゃん
川上未映子
妻
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