金融や経済についてはさっぱり分からない、でも分かるようになりたい!という人におすすめ
私はずっと、経済や金融関係が苦手というか、あまり興味が持てませんでした。為替レートや貿易などは概念としては知っているけどシステムはよくわからないし、株価などという単語を聞いただけで蕁麻疹が出そうなくらいでした。これではいかんと思い、今までに何冊か経済の入門書に手を出してみたこともありますが、毎回、自分には難しすぎる、つまらない、と途中で投げ出して、結局経済オンチのまま今日まで来てしまいました。
しかし!そんな経済オンチの私のために書かれたような、素晴らしい本に出会いました。それが本書『経済学をまる裸にする(原題:Naked Economics)』です。たまたま彼の統計学の本『統計学をまる裸にする(原題:Naked Statistics)』を読んでそのわかりやすさに感動していたところ、その彼が経済学の本も出していると知り、もしかしたら彼の説明ならわかるかもしれない!と思い購入しました。
さっそく読んでみたところ、思ったとおりの良書でした。経済の知識がほぼ皆無の私でも挫折することなく、むしろジョークなども交えて楽しく読み終えることができました。
本書の内容の一部を紹介すると、たとえば以下のようなことが説明されています。
〇市場と政府の関係性
政府が市場に介入しすぎても経済を混乱させる一方、自由放任主義(いわゆるレッセ・フェール)も、例えば排気ガスの出しすぎなどの環境問題に対応できないなどの問題点あり。結論として、政府による市場への適切な介入が不可欠。
〇経済格差の問題
なぜビル・ゲイツはあんなにお金持ちなのか?その秘密は人的資本(Human Capital)、つまり個人が持っているスキルにある。逆に貧困層には人的資本が欠けており、ここをいかに向上させるかが貧困問題を解決させる鍵。
〇国際貿易の重要性
貿易は経済発展に不可欠。よくバングラデシュなどの衣類工場の待遇の悪さなどが問題になり、そのような工場で作られている製品の不買運動が起こることがあるが、それは貿易を滞らせるため現地の経済にとって逆効果であり、かえって現地の労働者の生活を苦しくさせる。
〇国際経済
EU内格差が問題になっているが、その要因の一つは共通通貨。例えば、イタリアなど景気が悪くなっている国では、本来その国の貨幣の価値が下がり、そのため輸出品の価格が相対的に安くなり、景気を押し上げる効果がある。しかし、共通通貨だとそのような一種の自浄効果が期待できない。だから、景気の悪い国はいつまでも景気が悪いまま。そこをどう解決するか。
このほかにも様々な経済事象をわかりやすく説明してくれます。本書を読み終えて、少なくとも経済に対する私の苦手意識は払しょくされ、もっと経済を勉強してみたい!とさえ思うようになりました。私と同じように経済に苦手意識を持っている方、手ごろな経済の入門書を探している方に、ぜひ手に取っていただきたい本です。
■英語版
Naked Economics: Undressing the Dismal Science
Charles Wheelan
■日本語版
経済学をまる裸にする 本当はこんなに面白い
チャールズ・ウィーラン (著), 山形浩生 (翻訳)
夫
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