職場でも、教会の奉仕の中でも両方の場で成長と気付きがある
職業としての牧師でなかったからこその発見
積水化成の広報部部長としての仕事をこなしながら、日曜は大阪交野教会牧師としての説教、牧会奉仕を定年まで務めた著者、小形真訓さん。どのように牧師とサラリーマンの兼業をし、教会での奉仕分担をしたり、教会内で若い人を育てて行ったのかを知りたかった私にとっては少し内容が期待はずれでしたが、もっと広い意味で社会人として、クリスチャンとしてどの様に会社生活を営んで行くかについて知りたい人にはお勧めしたい一冊。どちらかといえば未信者の一般人向けに書かれていると思います。
弱肉強食の世界である会社で、クリスチャンの教えと、時には反する状況に面して葛藤を覚える社会人に、どのように考えてゆけば良いか、著者の経験を読みながら考えさせられます。クリスチャンで、新社会人になる人にも一読していただきたい本。
時には会社で良い子になりたい、一等生になりたいとの欲望を抑えて、ここではこの程度で、と割り切りことも必要だと教えられます。それが結果として昇給や社内評価に影響することだとしても。また、社内政治で必要と思われている同僚や上司との飲み会、取引先との接待やゴルフについては、その有効性自体を自答させられます。本当にそんなちまちました裏作業でライバルを蹴落として自分が生き残ろうと思っても、了見が狭いだけではないのか。本当にそれは効果的なのか。
私は大企業の部長ではないので、著者の話はあまり該当しないなと思いながら読み進めましたが、最後の方で著者の本音がうかがえます。やはり迷い、妬み、焦燥感はあったらしい。仕事にだけ打ち込んでおけば、という後悔。その葛藤に終止符がついたのかは分からないけれど、その正直さに、あぁこんなマルチタスキング出来る有能な人でも思い悩むんだ、ホッとしました。
日曜日部長は牧師になる
小形真訓
妻の姉
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