まわりの理不尽な人への対処の鍵が見つかるかも
前の職場にどうも冷血で同情心がなく、いつも理不尽なことを言ってくる上司がいて、しばらく悩まされていたことがあります。そんな中、心理学専攻の同僚が「彼は絶対ソシオパスだな。完全パターンに合致する。」と言っていたのが印象に残って。サイコパスとソシオパスはまた少し違うけれど、社会学的にそうカテゴリ分けされる部類の人たちについて理解できれば、上司とのコミュニケーションのヒントになるかもしれないと思い、手に取ったのがこの本です。
過去に凶悪犯として名を遺したサイコパスたちのストーリーから始まり、サイコパスと言われる人たちの特徴についてよく解説されています。
特に興味深かったのがサイコパスの脳についての章。
最近の研究から、サイコパスの脳は普通の人の脳と異なることが分かってきているようです。
例えば共感能力をつかさどる脳の部分の機能が低いとか、恐怖や不安を感じる部分の機能が低いとか。だから平気で非人道的なことができてしまったりするそうなのです。
そういった機能障害は先天的、または後天的なさまざま理由から起こるのだとか。
これは本当に目からうろこでした。
もしかしたら前述の上司も、ただ「脳の障害があるのかもしれない」と思うと、「じゃあ仕方ないな」と思えることに気が付きました。こういう風に結論付けてしまうことが正しいことなのかは分かりませんが、彼に言われたことや、されたことをあまり真に受けてはいけないと思うことができました。なんというか気持ちがちょっと楽になったような。
サイコパスというのは凶悪犯だけではなく、社会的成功者にも多いのだとか。平気でうそをつけるし、自分の過ちを言葉巧みに人の過ちと思わせることができる。だからこそ上に上り詰めていくことができるのです。本書では、世界的に名声のあるスティーブ・ジョブズや、マザー・テレサまでもがサイコパスだったのではないかと書いています。
まわりに平気でうそをつく人や、いつもズルをしているのに上手く言い逃れをしているやっかいな人間はいませんか?そういう人に振り回されているなら、この本はおすすめです。うまく対処する鍵が見つかるかもしれません。
サイコパス (文春新書)
中野 信子
妻
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