初めてメイクをしたときのワクワク感をもう一度
この本、メイクの本なのに写真や図解が殆どありません。文章で、読み手の想像力を掻き立て、メイクさせる。ハウツー本ではなく、メイクについてどう考えたら良いか、その姿勢を正してくれるエッセイ。なんだかロマンチックな著者の意図を感じました。
昔覚えたメイクを儀式的にずっと同じにやっている人にならないために軌道修正してくれます。著者の主張は、自分にある美人の要素(それは誰にでもあるとのこと)を発見し、それを最大限に活かすということ。単に目が大きい、とか鼻筋が通ってるとかではなく、横から見たおでこのラインとか、眉毛の毛並みとか、些細な部分の美人要素を鏡を凝視して発見して、そこが素敵に見えるメイクを研究する。そしてブスの要素はとりあえず無視する!ポジティブ思考です。
オーダーメイドウェディングドレスを作っている者として、この美人要素、ブス要素の発見、活かし方はお客様にデザインを提案するにあたって覚えておきたいと思いました。そして、誰も美人要素だけを持っている人はいない、ブス要素があるからこそそのアンバランスさが魅力になる、との考え方は素敵です。
では、具体的に美人要素を活かすメイクとはどんなものなのでしょう。
一番避けなくてはいけない点は、厚塗り。
「厚塗り」というのはハゲのカツラに似ています。確実にみんなが気付いているのに、誰も何も言わない。痛々しく思われないように気をつけましょう。―P38より
シミがあってもソバカスがあっても、完全に隠すことだけにメイクの労力を尽くさない。それはアンバランスな魅力に変わりえるブス要素と割り切って、取り敢えず無視し、自分の美人要素の方に時間と労力を費やす。
80年代生まれ、アイメイクはブラウングラデーション王道期に生きた私としては、目から鱗だったのはアイメイクの話。
ツヤを出すためにまぶたにバームを塗る。大きく見せるためではなく、なまめくツヤで色気を出す。なるほどー!
しばらく同じメイクを儀式的に朝起きたらして、初めてメイクを覚えたときのトキメキをまた感じたいなと思う方にはオススメの、ざっくり読めるメイク哲学本。
生まれつき美人に見せる
吉川康雄
妻の姉
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