平和主義の入門書の決定版
本書は平和主義に同調する人、もしくはその主張に必ずしも同意しない人にも進められる、平和主義の入門書の決定版といえるのではないでしょうか。
本書の主な内容は以下のとおりです。
- 第1章で、平和主義とは何かという基本的な解説から始まります。ここで、平和主義はいかなる場合にも暴力を否定する「絶対的平和主義」と、場合によっては例外も認める「平和優先主義」の2つに分類されることなどが解説されています。
- 第2章~第6章は、平和主義とは異なる思想ー例えば正戦論や現実主義などーと平和主義の主張をそれぞれ比較し、それぞれの主張にどのような利点及び欠点があるかを考察していきます。
- 結論部分では、様々な思想と比較したうえで、「平和優先主義」は国際政治における魅力的な手段の一つになりうるという筆者の主張がまとめられています。
総じて平易に書かれており読みやすく、かつ、この手の議論にありがちな、自分と異なる主張を一方的に非難するというスタイルではないため、幅広い読者におススメできます。特に、平和主義に敵対する思想だけでなく、平和主義自身が持つ限界等も認めるなど客観的な議論が展開されており、とても勉強になります。こうした感じで日本のとるべき外交・防衛政策についての議論がもっと盛り上がればいいなあと感じさせてくれる1冊です。
平和主義とは何か – 政治哲学で考える戦争と平和
松元 雅和
夫
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