女として生きていくことのシビアな現実を教えられる本
漫画「ぼくんち」や「毎日かあさん」の作家、西原理恵子さんが若い女性に贈るメッセージの詰まった本。今年、女の子の親になったので、親目線も持ちつつ読ませていただきましたが、娘が10代になったらぜひ読ませたいです。
実は私、女の子より男の子の親になりたかったのです。理由は、女は生きづらいと感じるから。社会的にもそうだけど、とにかく生理もPMSも面倒くさいし辛すぎだし、外見とか出産とか育児とか、女は期待されることが多すぎる気がするのです。男も男で大変なことはあるけど、女が通らなきゃいけない道に比べたら、ずいぶん気楽に生きれそうな気がして。
でも今さら性別は変えられないで(笑)、娘にはオンナとしてたくましく生きていただくしかない。そういう意味で、女の人生のシビアな現実を気づかせてくれる西原さんの書きっぷりは素晴らしいです。ダイヤモンドは自分で買おうという考え方。ぜひ中学校の女子生徒向けの課題図書にしていただきたいです。
本書では、西原さんと娘さんとの反抗期バトルについても描かれています。娘さんは16歳で反抗期を迎え、「お母さんなんてキライ!」って言われたり口を聞かなくなったり。「ママ、ママ」と抱っこをせがまれていた時から、あっという間に時間が経って、気付いたときにはやりたいことを見つけて背中を向けてしまうって。
そんな文書を読みながら、なんだかジワっときました。今腕の中で乳をせがんてくる可愛い娘に、ママウザいと言われる日が来るなんて・・・(泣)でも自分が母親に対して反抗したように、そういう日が来るんだろうなぁ。せめてその日までは、思う存分可愛がってあげようと思わされました。
西原さんは高知で産まれて、実のお父さんは病気でなくし、再婚したお父さんはDVな上、首を吊って死んでしまう。ご自身も、旦那さんの言葉のDVに苦しめられ、離婚しているので、子というものは多かれ少なかれ親と同じ運命を歩んでしまうのかなぁと思わされます。シングルマザーの子はシングルマザーになって、ずっと貧困から抜け出せないことも、本書で問題視されています。
でも、西原さんのWikipediaの作歴を見ていると数多くの作品がずら〜っと並んで、スクロールしてもしてもなかなか下に行き着かないくらいなんです。それだけで、めちゃくちゃ行動しまくってきた人だというのがわかります。男で失敗する道は母親から受け継いでしまったのかもしれないけど、貧困だけは受け継がないように、普通じゃ考えられないほど行動してきたんだなって。
本書の最後に「結婚か仕事か悩んだら両方取ってください。育児か仕事か悩んでも、両方取ってください。」とあって、励まされました。私も今、子供が生まれたばかりで仕事は減らしているけど、子供がいるからといってやりたいことを諦めたくはない。西原さんの文章を読んで、諦めなくてもいいんだなと、行動し続けるエネルギーをいただけました。
ティーネイジャーや大学生から、女の子の母親になりたての人まで、幅広い世代におすすめできる本です。
女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと
西原理恵子
妻
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