この本の通り実践すれば長年の便秘解消も夢じゃないかも
大便について数多くの著書を出す辨野義己(べんのよしみ)博士による本書は、便について知っておくべきことや、便にまつわるトリビア満載。便の研究をしているから、このお名前はペンネームかと思いきや、本名だというのはびっくりです(笑) まさに名は体を表すというか…
辨野博士は、世界中から集めた6000人以上の便を研究されており、便に関してはまさにエキスパート。本書では、便の歴史からうんちく、健康な便と不健康な便の見分け方などを知ることができます。ネーミングセンスがいちいち秀逸で、健康な便のことを「きらきらブリンス」、不健康な便のことを「かちかちブリンス」「どろどろブリンス」などと表現しているのには笑いました。便は体の状態を教えてくれる大切な「お便り」なんだそうです。そして、慢性便秘が蔓延する日本は「腸高齢化社会」。辨野博士の便研究への愛が感じられるキュートなネーミングセンスです。
それはさておき、便秘で悩む日本人は増加しているようで、女性のがん死因No.1はなんと大腸がんなのだとか。私自身もヘルスコーチとして頻繁に受ける質問が、便通について。こちらの記事にもまとめていますが、前回いつ便が出たか覚えていないという女性が実に多いと感じます。
大きな原因は食生活の変化。肉食中心、悪玉菌を増やしやすい食事、食物繊維の減少、プロバイオティクスの欠如などが挙げられます。辨野博士が試しに40日間、肉だけを食べ続ける実験をした話も面白かったです。黄色かった便の色が、実験を続けていく間に真っ黒になり、ひどい体臭と倦怠感に襲われるなど。読み応えがあります(笑)
一つだけ気になったのは、本書は乳製品は体に良いといっていることです。腸内環境を整えるためのプロバイオティクス源としてヨーグルトをおすすめされていますが、乳糖不耐症の人にとっては合うとは限りません。赤ちゃんの時には乳製品に含まれる乳糖を消化する酵素を持っていますが、大人になるとその酵素がなくなるため、大人の7~8割は乳糖をうまく消化できないと言われています。本書では根拠がない、と書いていましたが、米NIHなどの機関もそういったレポートを出しています。
現にわたしはヨーグルトを食べるとお腹の調子が悪くなることがあります。プロバイオティクス強化ヨーグルトを食べると問題ないのですが、そういった表示書きのない安いヨーグルトを食べるとかなりの確率でトイレに駆け込むことになってしまいます(笑)。どんな健康情報にも個人差というものがあるので、自分に合うか合わないか実験しつつ、取り入れたいものです。
それ以外には、腸内データベースや「便移植」など、近未来のおはなしなどもあり、目から鱗な本書。便秘に悩む人には、一度手に取ってもらいたいです。
大便通 知っているようで知らない大腸・便・腸内細菌
辨野義己
妻
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