参考になるアドバイスも満載
私が読書に目覚めたのは20歳くらいなのですが(遅いですね💦)、その際に、どういう本を、どうやって読んだらいいんだろうか?という疑問にまず遭遇しました。そこで、当時いろいろな読書に関する本を手に取ってみて、一番参考になり、購入から10年以上たった今でも折に触れて読み返しているのが本書です。
本書は、何を読むべきか、いかに読むべきか、などについての話から始まり、語学力の挙げ方、本への書き込みのススメ、思索することの重要性などを論じているほか、理想の書斎の姿にまで話が及んでいます。まさに、読書をする人へのアドバイスがひととおり盛り込まれているという、たいへんお得な1冊だと思います(笑)。
私にとってまず参考になったのは、「努めて古典、そして大著を読め」というアドバイスでです。私は何かと読みやすく薄い本や、最近出た本などに惹かれがちでしたが、筆者は、自身の精神を成長させてくれるのは、長い間読み継がれてきた古典的名著、特に分厚い大著であり、それらを読むことが大切であると説いています。
私も本書のアドバイスに従い、年中とはいきませんが、意識してドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』や、アレクシス・ド・トクヴィルの『アメリカの民主政治』など、一般的に大著と言われるような本を読むようにしています。やはり、内容の立派な古典を読むことは、自分自身の考えをより豊かにしてくれますし、大著を読むことで確かに忍耐力や集中力が養われることを実感しています。
また、読書という受動的な行いに加えて、自ら読んだ本について思索を深めることの重要性を強調している点も、ためになりました。以前レビューした『読書について』(ショウペンハウエル著)も同様のことを強調していますが、やはり、読書人たるもの、本は読んでも読まれるな、自分のしっかりした考えを持ちましょう、ということでしょうか。まだまだヒヨッコの私にはいまだに耳の痛いアドバイスです。
本書そのものは読みやすく、薄い本ですので、読書についての手軽な手引書として最適であるとともに、ある程度読書をこなしてきた方にも、いろいろと考えさせてくれる、味わい深い本だと思います。
読書論 (岩波新書)
小泉信三
夫
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