人文・思想 読書論

読書論 (岩波新書) :何度も読み返したくなる、味わい深い読書論の古典

投稿日:2018年5月6日

読書論 (岩波新書) -小泉信三-idobon.com

参考になるアドバイスも満載

私が読書に目覚めたのは20歳くらいなのですが(遅いですね💦)、その際に、どういう本を、どうやって読んだらいいんだろうか?という疑問にまず遭遇しました。そこで、当時いろいろな読書に関する本を手に取ってみて、一番参考になり、購入から10年以上たった今でも折に触れて読み返しているのが本書です。

本書は、何を読むべきか、いかに読むべきか、などについての話から始まり、語学力の挙げ方、本への書き込みのススメ、思索することの重要性などを論じているほか、理想の書斎の姿にまで話が及んでいます。まさに、読書をする人へのアドバイスがひととおり盛り込まれているという、たいへんお得な1冊だと思います(笑)。

私にとってまず参考になったのは、「努めて古典、そして大著を読め」というアドバイスでです。私は何かと読みやすく薄い本や、最近出た本などに惹かれがちでしたが、筆者は、自身の精神を成長させてくれるのは、長い間読み継がれてきた古典的名著、特に分厚い大著であり、それらを読むことが大切であると説いています。

私も本書のアドバイスに従い、年中とはいきませんが、意識してドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』や、アレクシス・ド・トクヴィルの『アメリカの民主政治』など、一般的に大著と言われるような本を読むようにしています。やはり、内容の立派な古典を読むことは、自分自身の考えをより豊かにしてくれますし、大著を読むことで確かに忍耐力や集中力が養われることを実感しています。

また、読書という受動的な行いに加えて、自ら読んだ本について思索を深めることの重要性を強調している点も、ためになりました。以前レビューした『読書について』(ショウペンハウエル著)も同様のことを強調していますが、やはり、読書人たるもの、本は読んでも読まれるな、自分のしっかりした考えを持ちましょう、ということでしょうか。まだまだヒヨッコの私にはいまだに耳の痛いアドバイスです。

本書そのものは読みやすく、薄い本ですので、読書についての手軽な手引書として最適であるとともに、ある程度読書をこなしてきた方にも、いろいろと考えさせてくれる、味わい深い本だと思います。


 

読書論 (岩波新書) -小泉信三-idobon.com

読書論 (岩波新書)
小泉信三

Amazonで見る 楽天で見る

 

 

The following two tabs change content below.

国際関係、政治、哲学、古典に関する本が大好物。読書は絶対紙派(電子はちょっと苦手なのです…)。アコースティックギターが趣味で夜な夜な練習にいそしんでいる。ツンツンヘアがトレードマークで、ヘアカットをするときのお決まりの注文は「横と後ろはバリカンでトップは短く」。
▼ブログランキング参加中。クリック応援お願いします♪
にほんブログ村 本ブログへ にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ にほんブログ村 本ブログ おすすめ本へ

-人文・思想, 読書論
-


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

The Miracle Morning-Hal Elrod(ハル・エルロッド)-idobon.com

The Miracle Morning(邦題:モーニングメソッド):私の人生も朝の習慣で変わった

3年前に読んで朝の習慣を取り入れてから、かなり人生変わったと思う 2014年の終わりにあるポッドキャストを聞いていて、たまたま著者のHal Elrod(ハル・エルロッド)さんがインタビューされていたの …

保守主義とは何か- 反フランス革命から現代日本まで-宇野 重規-idobon.com

保守主義とは何か:入門書としてうってつけ

保守主義を学ぶにはまずこの1冊から! 私は政治思想について専門的に学んだことはありませんが、長い間興味を持ってきました。保守主義についてもこれまでに何冊か本を読んできましたが、その中でも本書は内容・分 …

眠られぬ夜のために-カール・ヒルティ-idobon.com

眠られぬ夜のために(第1部):就寝前の読書に最適

読むとよく眠れます(笑) カール・ヒルティの本は私の愛読書の一つで、本書と彼の代表作である『幸福論』(全3巻、本書もいずれレビューします!)は、常に私の手元に置いている、まさに座右の書と言える本だと思 …

The Four Tendencies-Gretchen Rubin-idobon.com

The Four Tendencies:ありそうでなかったタイプ別の対人関係指南書

ありそうでなかったタイプ別の対人関係指南書 メリッサ・グリッフィン(Melyssa Griffin)というオンラインマーケターのPodcastをよく聞いているのですが、そのゲストとして出演していたのが …

夢をかなえるゾウ-水野敬也-idobon.com

夢をかなえるゾウ:ぱっとしない毎日の何かを変えたいと思っている人にオススメ

ちょっとふざけてるけど実用的 恐ろしくぱっとしない毎日を送っている主人公の前に、インドの神様「ガネーシャ」が現れて、徐々に主人公の人生を変えていくという小説スタイルの自己啓発本。 ガネーシャはインドの …