出産や子育てにまつわるいろんな人の考え方を垣間見れる短編小説
これも妊婦の友達がオススメしてくれた本の一冊。
短編小説になっていて、産みたいけど妊娠できない女性、四十代でバリキャリだけど未婚で妊娠してしまう女性、せっかく妊娠したのに流産してしまう女性、女性開業医と結婚して自分が育休を取ることになった男性、などなどいろいろな人のストーリーが詰まっています。
私自身は、女性である以上子供は産んで育てたいなぁと思ってきたタイプですが、仕事も頑張ってきたので全く欲しくない人の気持ちも分からなくないです。特に子供ができてしまったら人生が子供一色になってしまうんじゃないかという不安とか、所かまわずぴーぴーぎゃーぎゃーいう子供にイラっとせずに冷静にいられるのか自分!とか・・・
一方で、子供はぐずぐずする生き物だし、私たち大人も、みんなそんな風に誰かに迷惑をかけながら大きくなったのだから、「子供なんて嫌い」と堂々と言えてしまう主人公の桜子さんはちょっと自己中だなと思ってみたりもするのでした。
出産や子育てについては、皆いろいろな意見を持っているものなので、多種多様な考え方を知るという意味では本書は面白いです。
一つ一つのストーリーが若干つながっているのも読みどころです。例えば、なかなか妊娠できない重子さんが通う不妊治療のクリニックが、育休を取ることになった男性のストーリーに出てくる奥さんの女性開業医だったり。重子さんとバリキャリ未婚妊娠のストーリーに出てくる桜子さんが親友だったり。
でも、短編小説だからしょうがないのかもしれないけど、ストーリーの展開が妙に早いです。もうちょっとじっくりとした描写があってもいいのにな、と思う展開が多々あり。短い中にいろいろ詰まっているのが短編小説の面白いところなのかもしれませんが。
産む、産まない、産めない
甘糟りり子
妻
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