「初恋」はその名の通り、16歳の少年が初めての恋を知る話です。素直で純粋な青年の心の中をのぞいているようでキュンキュンさせてくれます。
ストーリーは主人公のヴラディミールが初恋の思い出を回想するところから始まります。彼は16歳の夏、父と母と共にパリ郊外の別荘に移り住みます。彼らの住む母屋と、庭を隔てて離れがあり、そこに公爵夫人一家が越してきます。主人公はその公爵令嬢のジナイーダに一目惚れします。
初めて知る恋という感情に戸惑い、酔いしれる主人公。ジナイーダには、恋をしていることが一瞬にしてバレてしまうけれど、彼は自分の感情に非常に素直なので、ジナイーダに子犬のようにつきまといます。
後々、ジナイーダが他の人に恋をしていることに気付いたと同時に、自分の父の知ってはいけない秘密を知ってしまいます。少年とも青年ともいえない微妙なお年頃の主人公ですが、読み手は彼の感情のローラーコースターに上手いこと乗せられてしまいます。
以前、ヒット作というのは決まって「感情の振れ幅が大きい」と聞いたことがあります。本作も長年読みつがれる名作なだけあって、ドキドキ、ショック、悔しい、悲しい、など色々な感情を思い出させてくれます。
青春時代のあの甘酸っぱい感情をまた感じたい!キュンキュンしたい!という方はご一読を(笑)。
最後に気に入った一節を紹介します。
青春に魅力があるとしたら、その魅力の秘密は、なんでもできるというところにではなく、なんでもできると思えるというところにあるのかもしれません。
初恋(光文社古典新訳文庫)
トゥルゲーネフ
妻
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