外国文学 小説 文学・評論

初恋:日常にキュンキュンさが足りていない人におすすめ

投稿日:2018年10月1日

初恋(光文社古典新訳文庫)-トゥルゲーネフ-idobon.com

「初恋」はその名の通り、16歳の少年が初めての恋を知る話です。素直で純粋な青年の心の中をのぞいているようでキュンキュンさせてくれます。

ストーリーは主人公のヴラディミールが初恋の思い出を回想するところから始まります。彼は16歳の夏、父と母と共にパリ郊外の別荘に移り住みます。彼らの住む母屋と、庭を隔てて離れがあり、そこに公爵夫人一家が越してきます。主人公はその公爵令嬢のジナイーダに一目惚れします。

初めて知る恋という感情に戸惑い、酔いしれる主人公。ジナイーダには、恋をしていることが一瞬にしてバレてしまうけれど、彼は自分の感情に非常に素直なので、ジナイーダに子犬のようにつきまといます。

後々、ジナイーダが他の人に恋をしていることに気付いたと同時に、自分の父の知ってはいけない秘密を知ってしまいます。少年とも青年ともいえない微妙なお年頃の主人公ですが、読み手は彼の感情のローラーコースターに上手いこと乗せられてしまいます。

以前、ヒット作というのは決まって「感情の振れ幅が大きい」と聞いたことがあります。本作も長年読みつがれる名作なだけあって、ドキドキ、ショック、悔しい、悲しい、など色々な感情を思い出させてくれます。

青春時代のあの甘酸っぱい感情をまた感じたい!キュンキュンしたい!という方はご一読を(笑)。

最後に気に入った一節を紹介します。

青春に魅力があるとしたら、その魅力の秘密は、なんでもできるというところにではなく、なんでもできると思えるというところにあるのかもしれません。


 

初恋(光文社古典新訳文庫)-トゥルゲーネフ-idobon.com

初恋(光文社古典新訳文庫)
トゥルゲーネフ

Amazonで見る 楽天で見る

 

The following two tabs change content below.

体や栄養に関するマニアックな本、経済・投資関連の本、社会学系の本が好き。モノを増やしたくないので本はできる限りデジタルにしたいと思っている。ミステリー&サスペンス系の小説が好きだが、はまり込むと家事や仕事をおろそかにするのでたまにの楽しみにしている。
▼ブログランキング参加中。クリック応援お願いします♪
にほんブログ村 本ブログへ にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ にほんブログ村 本ブログ おすすめ本へ

-外国文学, 小説, 文学・評論
-


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

その女アレックス-ピエール・ルメートル (著)、橘明美 (翻訳)-idobon.com

その女アレックス:毎章ごとにこんなにがらっと展開の変わる小説は初めて

完全に普通じゃないミステリー小説 表紙の絵と裏表紙のあらすじからして、女性の誘拐の話かなと思って読み始めました。アレックスという女性は男に誘拐され、想像を絶する残忍な状態で監禁されます。普通のミステリ …

アルジャーノンに花束を-ダニエル キイス (著), 小尾 芙佐 (翻訳)-idobon.com

アルジャーノンに花束を:知識と知恵の違いを学ばされる

IQ70の人が天才になる話 主人公のチャーリィは32歳なのに幼児なみの知能しかない知的障害者。複雑なことは理解できないですが、パン屋の雑用として働かせてもらっていました。ですが、ある時大学の研究対象に …

エマ-ジェーン・オースティン-idobon.com

エマ:全てに恵まれた傲慢な若い女性の自己成長の物語

読みにくいが最後まで読む価値がある作品 ノーサンガー・アベイ、高慢と偏見と続けてジェーン・オースティンの本を読んできましたが、「エマ」は上記2作に比べて読みやすさで言うと難易度が高い作品だと感じました …

嵐が丘<上>-E・ブロンテ-idobon.com

嵐が丘:恋愛小説で終わらない、もっと普遍的な題材を扱っている小説

嵐が丘 「リア王」、「白鯨」と並んで三代悲劇と言われた本に希望を見出す 「次、何読もう?」と常に考えています。そして、良書を探すためにはいつもアンテナを張っています。読書家の友達からのおすすめだったり …

ノーサンガー・アベイ-ジェーン・オースティン-idobon.com

ノーサンガー・アベイ:いわゆる「普通の女の子」のプリンセスストーリーに親近感を覚える

現実的なヒロイン像であるキャサリンと、良い教師ヘンリー 19世紀の作家、ジェーン・オースティンの初期の作品であるこの物語は、主人公、キャサリン・モーランドがどれだけ典型的なヒロイン像から外れているかの …