ティーネイジャーにはうけるのかも。でも深みに欠ける感はぬぐえない
14歳のおともだちから勧められました。最近読んだ本で、これ面白かったよって。アイドルが書いた本だそうで、読むの気乗りしなかったのですが重い腰上げつつ、ティーンエイジャーの心理を理解しようと務めることにしました。
二人の幼馴染の成長過程、特に芸能界に入ってから仲良かった二人がお互い芸能界で活動するにあたっての嫉妬、取り残された感などの葛藤を描いています。物語全体が映画を見ているような構造になっていて、時間軸やシーンが頻繁に交差します。実際に2016年に映画化されています。
巻末の加藤シゲアキインタビューにもある通り、著者は文章を書くのが好きなんだと思います。何か文章を通して表現したい思いや教訓がある訳ではなく、とにかく達筆さをアピールしたい、というのが彼の意図なんでしょう。アイドルだけど、馬鹿だとは思われたくない、と。確かに、文章は凝ってるかもしれない。物語の構成は一捻りあって、特にエンディングはオチがあるので、スピード感はある。でも、作家として成長するには、達筆さだけでは評価され続けないのではないかと、思いました。
ものの数時間で読んで、消費され、忘れ去られてしまう。そんな数ある小説のひとつです。
何人か自殺するシーンがありますが、そのキャラクター達が、「死」に何を求めたのか、自殺したら現実から離れられると思ったのか、死という行為自体が芸術だと勘違いしたのか、それとも死後の何かを探すために自殺したのか、もっと掘り下げて欲しかったです。
また、白木蓮吾が親友の大貴の芸能界での活躍を手助けする為に自殺する、というのは、死をあまりにも軽々しく扱っていないでしょうか。そんな風に「手助けする」なんて、傲慢では無いでしょうか。その理由を追求し、葛藤し、他の人に伝わる言葉にしてこそ、次のレベルの作家として認知されることも可能でしょう。14歳のおともだちには、講談社青の鳥文庫から出ている少年期用「ああ無情」を読むことをお勧めします。
ピンクとグレー
加藤シゲアキ
妻の姉
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